外陰部疾患
外陰部疾患について
かゆみは、カンジダ・雑菌等の病原菌による感染や、かぶれ等のアレルギーや、性感染症が原因の場合等があります。
病原菌やかぶれ等によるかゆみは誰にでも、日常的に起こりやすい症状です。
自然に治ることも多いですが、放置をすると治りにくくなり、再発を繰り返すことも有ります
カンジダや雑菌による感染症は、普段の生活の中で発病しやすく、抗生剤の服用、体調の変化、腟内環境の変化、むれやすい服装等で起こりやすくなります
○発症しやすい状態
- 妊娠・出産予定の方
- 風邪をひいたり寝不足等で免疫力が落ちた状態
- 生理前や、腟内を洗いすぎたとき
- 抗生物質の内服で乳酸菌が少なくなる状態
- ナプキンの長期使用時や圧迫の強い下着等の着用による高温多湿の状態
- 性交渉により手指の雑菌が感染したり、刺激により炎症が起きたりした状態
上記以外に、外陰部のかゆみの原因として考えられるものには、ブドウ球菌・大腸菌が原因の感染性外陰炎やトリコモナス膣炎等があります。
ひどくなる前に早めに婦人科を受診してください。
● 膣カンジダ
カビの一種で細菌ではありません。膣内に常在している病原体が増えておこります。
誰もが発症する可能性を持っています。
普通の状態でも10人に1人くらいは膣内に見つかります。
女性性器の感染症のうちでは頻繁にみられる疾患です。
体調が悪くなるだけで増えることがあります。
・症状
かゆくなります。
おりものはヨーグルト、カッテージチーズのように白濁しポロポロした状態になります。
・治療
専用の抗真菌薬を腟内に入れます。
最近は経口剤での治療法もありますが、基本は膣洗浄と膣座薬です。
パートナーにうつる可能性がありますので、性感染症の位置づけです
● ヘルペス
ウイルスによっておこる外陰部の病気です。
・症状
繰り返すのが特徴で、痛みを伴うのが特徴です。
痛みは初めて感染したときに特に強く、触れない程痛くなることがあります。
時に神経麻痺をきたして尿が出なくなることも有ります。
二回目以降は症状は軽くなりますが、痛みがかゆみよりも先にきます。
皮膚や粘膜に潰瘍が複数個できます。
・治療
治療は抗ヘルペス薬を服用します。軟膏も有ります。
性感染症ですので、急性期の性行為はできません。
● コンジローマ
ウイルスによっておこるイボの病気です。性病の一つですが急性ではないので性行為が禁忌ではありません。
通常のイボと同じウイルスによっておきます(イボはウイルスが原因です!)
・症状
膣内や子宮頚部にもできるので、オリモノの原因や、性交痛の原因にもなります。
・治療
治療は皮膚に出来たコンジローマはクリームを塗る方法が有ります。
粘膜や膣内に出来たものは、症状が有れば電気メスなどで切り取ります。
● 雑菌
ブドウ球菌や大腸菌などその他多数の菌が腟や腸内、皮膚にいます。
体調不良などによりその菌が膣内に侵入し増加し症状が出ることがあります。
・症状
かゆみが出ます。
おりものが増え臭いがします。
・治療
抗生物質入りの膣錠を腟内に入れます。
● バルトリン腺炎
外陰部の肛門よりの左右にはバルトリン腺という組織が有り、分泌物の開口部があります。
そこに最近が侵入して炎症を起こすとバルトリン腺炎となります。
・症状
症状は外陰部が腫れてきて痛みを伴います。
外陰部の痛みはヘルペスも含め、要注意です。
・皮膚の疾患
毛嚢炎、皮下膿瘍など皮膚の病気が外陰部におきることが有ります。
治療
検査後治療しますが、軟膏治療、膣洗浄、膣剤挿入が基本になります。
診察では、感染症の検査を行います。培養が基本ですので、結果は後日になりますが、明らかなものはすぐ治療開始します。診断に応じて、薬を処方します。性感染症が考えられる場合はそちらの検査もします。
外陰部疾患 - よくある質問
外陰部疾患 -Q&A
Q:性感染症の予防法はありますか?
A:不特定多数との性行為を避け、特定のパートナーと関係を守ることです。
コンドームを正しく使用し、体液や粘膜や等の直接の接触を無くし、性行為の始めから終わりまで外さないことが重要です。
Q:性感染症(STD)は保険診療が可能ですか?
A:感染の有無の確認をしたい場合は自費診療ですが、症状のある場合は保険診療が可能です。
保健証を持参し、医師にご相談ください。
Q:陰部にかゆみがあり、市販の薬を付けてみましたが、悪化しています。おすすめの薬はありますでしょうか。
A:市販の薬が多数販売されていますが、感染症用のものや痒みを抑える目的のものなど様々です。
自己判断による薬の使用は注意が必要です。
病態により適切な薬は違います。医師の診察を受けるようにしてください。
Q:定期的な性感染症の検査は必要ですか?
A:性感染症には、感染しても症状の現れにくいもの(HIV、肝炎ウイルス、クラミジア等)もあります。
このような場合、気づかないうちにパートナーを感染させる危険性があります。
不特定の方と接触のある方は、定期的に検査を受けることをおすすめします。
Q:性感染症を一度治療すれば再発は無いのでしょうか。
A:発症してから適切な治療を行えば病気にもよりますが、1から2週間程度で改善が見込めます。
ですが、カンジダなどはもともと体内に存在する菌のため、症状が治癒しても体調次第で再発する可能性もあります。
Q:定期的な性感染症の検査は必要ですか?
A:性感染症には、感染しても症状の現れにくいもの(HIV、肝炎ウイルス、クラミジア等)もあります。
このような場合、気づかないうちにパートナーを感染させる危険性があります。
不特定の方と接触のある方は、定期的に検査を受けることをおすすめします。
Q:分泌物に色がついて、匂いがあるのですが?
A:若い方の場合、ガルドネレラ菌感染症の場合があります。年配の方の場合萎縮性膣炎の可能性があります。
どちらも治療をすれば改善します。
Q:外陰部がヒリヒリしたり、ツーンとした痛みが続くのですが?
A:年配の方に時々認められる症状で、萎縮性膣炎の一症状のことがあります。
ホルモン剤入りの膣錠で改善する可能性があります。
Q:外陰部に痛みがあり、皮膚が一部剥がれている
A:ヘルペス外陰炎の可能性があります。服薬で治療します。
Q:外陰部にイボのようなものがあり、症状はないのですが、触ると少し痛いものがあります。
A:尖形コンジローマの可能性があります。
尖形コンジローマはウイルス感染で発症するいぼ状の病気です。性行為感染症にも含まれます。
無症状だったり軽い痛みや痒みをともまったりします。
いぼのように見えても正常な膣粘膜の可能性もありますのでご心配でしたら受診をお勧めします。